『第四欲求 若き映像作家の新◯◯論』公開記念 20代の学生監督へ独占インタビュー
12月12日より、大阪十三シアターセブンにて1週間限定で上映されるオムニバス上映企画「第四欲求若き映像作家の新◯◯論」
今回は、「バンタンデザイン研究所大阪校映像学部」の学生たちが制作した本作の公開に合わせ、映画チア部が独占取材を敢行。
以下では、上映される作品の概要と学生監督へのインタビューを掲載していきます。
「第四欲求若き映像作家の新◯◯論」とは?
今回の企画では、「バンタンデザイン研究所大阪校映像学部」に通う学生たち6人が製作した短編作品(5分から25分程度)を集め、1本のオムニバス映画として上映。
睡眠欲、食欲、性欲に続く、若き映像作家たちの「映像作品で認められたい」という欲求をコンセプトに、SF・アクション・サイバーパンク・恋愛・モンスター映画と枠にとらわれない5つの作品が集結しました。
『Love Distraction』(監督:塚本雄太)
<概要>
「存在証明」をテーマに塚本雄太監督が手がけたのは、街を記録するアンドロイドによる数日間の物語。限られた予算の中でも、様々な工夫を凝らし、近未来の設定を見事に演出しています。
<塚本雄太監督インタビュー>
Q, 入学した理由を教えてください
映画が好きだったからです。大学在籍時には映画サークルにも所属し、その頃から、自主制作映画を作っていました。
Q, あなたにとって「映画」とは?
帰宅部だった高校時代にハマったこともあり、現実から逃れることが出来るものというイメージが強いです。また、実際に「映画を作ること」が容易になったこともあり、遠いようで近い存在とも言えるかもしれません。
Q, 今回の制作で苦労したことはありますか?
15分尺の作品は初めてだったため、脚本づくりに苦戦し、制作が一時的にストップしたことがありました。また、アンドロイドからの視点ショットを描こうとエフェクトを準備していたものの、技術不足で今回は実現できませんでした……。
Q, 作品へのコメントを教えてください!
タイトルの「Distraction」という言葉は「気晴らし」という意味。それゆえ、物語では主人公のアンドロイドと人間の束の間の交流が描かれています。
最初は男女を描く物語でしたが、あえて男性同士にすることで普通の作品とは少し違う視点ものになりました。
好きな映画は『タクシードライバー』なのですが、制作中は自然と好きな作品に寄っていく傾向があり、ひょっとすると本作に似ている部分もあるのかもしれません。
『まわる世廻』(監督:森山竜司)
<概要>
「争いの解決法とは何か」という疑問をテーマに森山竜司監督が手がけたのは、男たちの戦いを描いた神話アクション。全編が淡路島ロケの作品というだけあって、独特の異世界感と美しい風景も魅力的です。
<森山竜司監督インタビュー>
Q, 入学した理由を教えてください
英語系の大学に入っていたのですが、合わなかったため、中退。その後、映像制作に興味を持ったため、入学しました。
Q, あなたにとって「映画」とは?
もともと哲学的な事柄が好きで、映画からは生きる術を学んできました。特に作中のセリフが胸に響いたことは多く、大切に思ったセリフはノートにまとめています。カッコよくエンドロールに入る作品が好きなため、最後に余韻に浸るのが至福です。
Q, 今回の制作で苦労したことはありますか?
初の映画制作ということもあり、内容を固めきれずに淡路島ロケに向かってしまったことが反省でした。
Q, 作品へのコメントを教えてください!
仏教や北欧神話に興味があったため、それを意識した作品になりました。また、宗教では生きる希望を持つことが大切と考えられがちですが、本作は生きることの苦しさという部分に焦点を当てた作品になっていると思います。
『RETALTY』(監督:ミカヅキユウト・ウエムラハルカ)
<概要>
ミカヅキユウトさん・ウエムラハルカさんの共同監督が手がけたのは、仮想現実を生きる女性が「自分らしさ」をみつけるまでの物語。『AKIRA』や『ブレードランナー』を彷彿とさせられるサイバーパンクな映像描写にも注目です。
上:ミカヅキユウトさん 下:ウエムラハルカさん
<ミカヅキユウト&ウエムラハルカ監督インタビュー>
Q, 入学した理由を教えてください
入学前は正社員として働いていましたが、趣味でMVを撮っていたことから、上司の依頼で結婚式の映像を制作。そこから本格的に映像を学びたいと思いました。(ミカヅキユウトさん)
もともとは、バンタンデザイン研究所高等部のヘアメイク分野に通っていたのですが、卒業を前に将来の方向性を模索。ファンである米津玄師さんのMVを見たことがきっかけで「美容師よりも、MVやPVを制作してみたい。」という気持ちが湧き、入学することになりました。(ウエムラハルカさん)
Q, あなたにとって「映画」とは?
もともと、MVが好きだったんですが、『AKIRA』(近未来の日本を舞台にした伝説的アニメ映画)に感銘を受け、同じように近未来を映像で表現したいと思うようになりました。(ミカヅキユウトさん)
「『映画』とは」と聞かれると、アニメなどが好きなこともあり、困りますが……(笑)、映像作品は個人の思考にアドバイスをくれるもの、日常生活で立ち止まった時に解決のヒントをくれるものだと思っています。(ウエムラハルカさん)
Q, 今回の制作で苦労したことはありますか?
制作当初はアイデアありきで、メッセージを考えるのが難しかったです。また、撮影と演出を兼務した部分や、編集をウエムラさんと分担した部分にも苦労しました。(ミカヅキユウトさん)
Aftereffects(映像にVFXなどを付け加えるアプリケーションソフト)での作業が好きだったため、制作の際、真っ先に志願したのですが、思いのほか大変で苦労しました。劇中のネオンの看板などは1つ1つデザインを制作しているため、仕事量が多く、その部分も分担が必要だったのかもしれません。(ウエムラハルカさん)
Q, 作品へのコメントを教えてください!
もともとアニメの『ソードアート・オンライン』が好きで、そこに登場する別世界への憧れがあったため、その影響が出た作品になりました。また、『ブレードランナー』にも影響を受けており、仮想現実の色味やネオンの雰囲気は本作に似ているかもしれません。(ミカヅキユウトさん)
私自身もアニメに興味があり、特に異世界転生系の作品が好きなので、仮想現実への召喚されるシーンは、そんな作品群を意識しています。また、今回は主人公の部屋の美術も担当しているため、Pinterest(画像共有サイト)を参考にしながらリアルな内装を考えました。もともと、モーショングラフィックスが好きだったため、「サイバーパンク」な世界観を意識しましたが、今回は海外アーティストのMVの影響も受けています。(ウエムラハルカさん)
『憂鬱なので一旦消えときたい。』(監督:角谷杏花)
<概要>
角谷杏花監督が描いたのは、現代女性が抱く「自己承認欲求」。実際の経験を基に、監督・主演のみならず、撮影・照明・音声・編集も全て一人で担当し、等身大の価値観を映像作品に投影しました。
<角谷杏花監督インタビュー>
Q, 入学した理由を教えてください
もともとは美術系の大学にいたのですが、4年生の夏ごろ、就活で映画の配給会社を探していたときに「映画を撮りたい」という気持ちが生まれ、入学しました。
Q, あなたにとって「映画」とは?
映画館で集中して、見終えた後に達成感を得られるのが好きな部分です。特に「ホラー映画」が好きで、怖いとは思いつつも、その感情から気持ちを逸らすため、演出やメイクなどを分析するようになったのが、映画制作に繋がったのかもしれません。
Q, 今回の制作で苦労したことはありますか?
ストーリーを順序立てて考えるのが苦手で、思いつきで進んでしまう部分があるため、最初と最後以外の内容に苦戦しました。内容は撮影や編集をしつつ、少しづつ完成させていった印象です。また、全て一人で撮影をしていたため、確認しつつ撮影するのが大変でした。
Q, 作品へのコメントを教えてください!
MVを見漁っていた時期に発見した向井太一さんの『siren』というMVに強い影響を受けました。(四角で切り取られた映像が合わさっていくMVの内容から)作品の画角を使ったアイデアを思いつき、それが本作で生かされています。
『花男VS花人間』(監督:小野萌人)
<概要>
小野萌人監督が製作したのは、あるきっかけから突然変異してしまった人間たち=花人間の戦いを描いた怪人ドラマ。1950年代前後に作られたユニバーサル・モンスターズの作品群や、東宝の変身人間シリーズにリスペクトを捧げています。
<小野萌人監督インタビュー>
Q, 入学した理由を教えてください
社会人として仕事をしていた時、人間関係につまずき、将来の方向性を迷った時期がありました。そんな時、かねてより好きだった「映画」へ取り組むことを決意し、「ここでやらなけらばいつ作る」と一念発起して、入学しました。働きながら通えるという部分にも惹かれました。
Q, あなたにとって「映画」とは?
幼稚園の頃、平成ゴジラや平成ガメラ3部作を親に連れて行ってもらい、無意識に好きになっていたとは思うのですが、高校卒業後に映画評論などに興味を持ち、それが今に繋がっています。
Q, 今回の制作で苦労したことはありますか?
時間的な制約から3日間しか撮影できず、現場をまわすのに必死で妥協したカットがあったことです。撮影時には気づけなかったものの、編集時に納得のいかない部分に気づくことも多く、1カット1カットへのこだわりを、あまり持てなかったことも反省点です。
Q, 作品へのコメントを教えてください!
本作のきっかけは、知人である田中元気くんが、自分を被写体に「花に囲まれた人間の姿」をポートレート写真として撮ってくれたことでした。撮影後の飲みの席で、そのアイデアと自分の興味を合わせ、「花人間を戦わせよう」と語ったことから、本作を制作することになり、花人間は「ビオランテ」(『ゴジラ』シリーズに登場する植物怪獣)を意識するようにお願いしました。
以上、若き学生監督6人が作った短編作品とそれぞれのインタビューを掲載させていただきました。
こちらの作品は、12/12~12/18までの期間、大阪の映画館・十三シアターセブンにて1週間限定上映。
連日舞台挨拶が予定されているほか、入場者には『花男VS花人間』シール(12/12,13,16のみ)、『RETALTY』シール、ポストカード、作中楽曲DL用QRコード(12/14,15,18のみ)のプレゼントも……!!
今回の記事を読んで、興味を持った皆様は、ぜひ、こちらのイベントを要チェックしてみてください!!
参考
シアターセブン/作品ページ/第四欲求 若き映像作家の新◯◯論
https://www.theater-seven.com/mv/mv_s0267.html
(イベントの詳細は、こちらからもご確認いただけます!)
執筆:映画チア部 神戸本部 大矢 哲紀
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