これは人類滅亡後の世界!?映画『人類遺産』公開記念 “珍スポ”トラベラー金原みわさんトークショー!

日本でも記録的な大ヒットとなった『いのちの食べかた』(07)のニコラウス・ゲイハルタ―監督最新作『人類遺産』が、シネ・リーブル梅田で公開中だ。本作は撮影期間に4年を費やし、世界70ヶ所以上もの"廃墟"を映し出した唯一無二の映像集となっている。公開を記念して、4月28日(金)にシネ・リーブル梅田で珍スポトラベラーとして活躍されている金原みわさんのトークショーが行われた(司会は本作の関西宣伝を担当されている田辺ユウキさん)。


未来人が作ったドキュメンタリー!?


ー金原さん、映画をご覧になっての感想はいかがですか?

金原さん(以下、か):はい、そうですね、色々考えてきたんですけど、まずちょっとお客さんに聞きたいのが、寝ちゃったっていう人いますか?(客席からパラパラと手が挙がる)

ーあはは!あ、でも正直にいらっしゃいますね。

か:30秒ごとに映像が切り替わっていくみたいだったんですけど、やっぱり映像の中に人も出てこない、当然台詞もないしストーリーもないしで、静か〜な、入り込んで行くとすやーっと眠ってしまう方もいらっしゃったかもしれないんですけど。それも一つの楽しみ方というか、それだけ入り込んでるのかなと思ったりもしました。

ー改めて金原さんが『人類遺産』をご覧になられての感想をお聞きしたいです。

か:ゲイハルター監督は観る者に解釈を委ねるようにしているっていうのが毎回の特徴みたいなので、あくまでも私の感想として聞いていただきたいんですけど、未来人が作った現代というか、ドキュメンタリーみたいだって最初は思いました。人類滅亡後の世界に生きている未来人が作った「人類ってこういうことしてたんだよ」という感じで、他人事の映画みたいに思いました。

でも、(劇中に出てくる)福島県のとあるシーンを見てたら「あ、そうか。これは未来から見た今じゃなくて、今と一つ繋がった世界なんだな」と思いました。またちょっとそこで想像がどんどん膨らんでって、っていうような感じ。で、そこからは映画の中に入り込んで、ここでどういう人が生きていたのかとかを想像しながら観れたような感じがしますね。

ー実際金原さんもこの映画の中に出てくるような場所って行ったりしたんですか?

か:そうですね、今お話ししたように福島の映像があったと思うんですけど、私はその近くの富岡っていう所に行ったことがあって。最近になって警戒が解かれて一般の方も出入りができるようになったところだったんですけど。これも本当に今日この映画を観た時のような気持ちになったりもしました。

この背景の写真は映画のシーンではなく、金原さん自身が作成されたもの

か:朽ち果てた場所とはいえど、やっぱり人が生きていた痕跡も色濃く残っていたことをすごく考えさせられたりしました。あとほかに行った所って言ったら軍艦島ですね。軍艦島のシーンも映画の中で出てきたと思うんでけど、これは観光の船で行くところでルートが限られてるんですけど。でもすごい廃墟の王様みたいなんですよね。


明日行ける!?金原さんオススメ珍スポット


ー映画では世界中の廃墟が出てきたんですけど、珍スポトラベラーの金原さんから、観客の皆さんにおススメできる明日でも行ける廃墟や珍スポットはありますか?

か:和歌山にある友ヶ島っていうところです。加太っていう港まで行ってそこからフェリーに乗って行く島なんですけど。明治時代に政府が砲台とかを作ってたんですけど、結局一度も使われることなく朽ちてしまった砲台跡のところですね。

ー港へはどれくらい時間がかかるんですか?

か:大阪から、結構近いですよ。二時間くらい。

ーそうなんですね。帰りはそれなりに早い時間で帰れるってことですよね。

か:そうなんです。ここだと日帰りでみなさんいけますので(笑)


世界の魅力的な廃墟


か:みなさん映画を観てても説明とか全くないから「どこだ!?」と思う方もいらっしゃると思うので、少し紹介しますね。まず1つ目は、アルゼンチンの廃墟、ヴィラエペクエン。ここは昔多くのひとで賑わってたみたいなんですけど、一回浸水してしまって完全に湖の底に沈んでしまったそうなんです。でも、2010年に干ばつが起こってまた再び出てきたっていう街らしいです。

ー浮かび上がるように姿を現したんですね。

か:すごいですよね。こういう電灯みたいなのが出てきて。ここはアルゼンチンなので明日中には行けないですけど。

後もう一つ。アメリカのインディアナ州にあるメソジスト教会。インディアナ州といえばマイケル・ジャクソンが生まれた街。昔、街は多くの労働者たちで賑わってた。でも、第二次世界大戦後、街は荒廃して、さらにこの教会が火災などに見舞われて今はただ骨組みだけみたいな形になってるということです。

ーこれもね、ちょっと明日はいけないですけど。


珍スポットトラベラー金原みわ流!廃墟の味わい方


ー金原さんは廃墟行って、こういう見方をするともっともっと面白いよーっていうのは何かありますか?

か:そうですね、私が好きな方法というか、廃墟だけではなく珍スポットもそうなんですけど、事前にあんまり情報を仕入れて行きたくないなと思っていて。そのまま現地の場所だけ知って行って、それを感じて、帰った後に文献とかで調べたら「あ、ここはこういうことがあったんだ」とか分かったりして。それで現地で撮った写真を見直して、そういうことだったんだと思うことがあったり、もう一回行ってみようと思ったり。監督の話に戻るんですけど、監督もあえて説明をあんまりしていないのは、知るよりもまずは観客に感じて欲しいと思って作ったっていうのをインタビューか何かでおっしゃってたので。そういう部分は廃墟や珍スポットも一緒だと思いますね。

ーあんまり先入観を持たずに感じてみるのが一番いい廃墟の楽しみ方としてあるってことですね。


短い時間で珍スポットや廃墟のお話をたくさんしてくださった金原さん。普段なかなか触れることのない"廃墟"の世界、ぜひ『人類遺産』を観てあなたの感性でたっぷり味わってみてはいかがでしょうか?(まゆ)

作品情報■『人類遺産』

日本で10万人が観た大ヒット作『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督最新作。撮影期間4年、世界70ヶ所以上にも及ぶ“廃墟”にカメラを向けた唯一無二の映像集。

放置され、朽ちゆく人工建造物の風景からは、人々が去った後もなお、不思議な息吹が感じられる。“彼ら”が私たちに伝えようとしているメッセージとは何か?いま、時空を超えた“人類遺産"との対話が始まる―(公式ホームページより)

関西ではシネ・リーブル梅田にて上映中。神戸・元町映画館でも近日公開予定。

『人類遺産』公式ホームページ(http://jinruiisan.espace-sarou.com/)

Profile■金原みわ

珍スポトラベラー、珍スポットトラベラー、特殊旅作家。珍スポット・面白スポットを旅して、その様子をイベントや記事寄稿にてレポートしています。(公式ホームページより)

金原みわの珍スポット旅行社 TiN.(http://kaneharamiwa.club/)

映画チア部

神戸・元町映画館を拠点に関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された、学生による学生のための映画宣伝隊。