『Dressing Up』上映まであと3日!~安川有果監督インタビュー~

1/9から元町映画館で『Dressing Up』上映!ということで、安川監督にインタビューをさせていただきました!今日から3日続けて配信予定です。今日はその第一弾!


(左から、カレン、安川監督、まな、ハヅ、涼)


―若い女の子に観てほしい


涼:今回、インタビューを受けてくださりありがとうございます!映画を観る前から、チア部の中でチラシがかわいいという話になって。


安川有果監督(以下、安川):それだけだと女子はもう、来ないんだなあと。 女子を甘く見てましたね。


まな:色かわいいですけどね。


安川:そう、色はかわいいけど、暴力とか孤独とか書いちゃうともうダメなんですよね。


:なんか、チラシのビジュアルからすると、わたしは下高井戸で先に観て、後日みんなで試写したんですけど、試写後の雰囲気が「えっ、こんな映画だったんだ…」っていうのが第一印象やった感じで。 わたし自身もそうやったんですけど、このチラシビジュアルって女性向けの…。


安川:そうなんですよ。 誰に向けてってそこまで具体的に考えてはなかったですけど、自分の趣味で走ったところがあって。


:あ、これはじゃあ、監督の意向というかそういうので。


安川:デザイナーさんはちゃんといて、イラスト書いてくださったのも小林エリカさんっていう小説家でイラストや漫画とかも描かれている方なんですけど、その人にお願いしたいっていうのも自分の発想で。


チア部:へ~。


安川:このデザイナーさんも自分の好きなチラシのデザイナーさんを紹介していただいて、その方に頼んみました。 最初にあがってきたビジュアルが結構こう男の子っぽい感じだったので、「そうじゃなくてもうちょっとこういう風にしたいんですけどね~」ってごもごも言ったら、もう二番目くらいにこのビジュアル(上の画像参照)のいろんな展開したバージョンがいっぱいあがってきて、十種類くらいすごい作ってくださって。 すごいポテンシャルの高い方だったので、デザイナーさんが。 その中でも、迷ったんですけど、これがインパクトあるかなってことで、あとピンクと赤で女子っぽい感じもあるし、女子を呼びたいっていうことを伝えたらなあこれでいいんじゃないっていうことになったんですけど。


:チア部の中でも結構ね。


ハヅ:かわいいってなりましたね。


:で、この会に至るまでに質問でどういうことを聞こうかって話し合ってた時に、このチラシのビジュアルってどこまで監督が関わっているんだろうっていう話になって。


安川:そうですね。 あのー、結構具体的にいろいろ言いましたね。


チア部:そうなんですね!


安川:写真に色つけてみたらどうなんだろうとか、あと後ろにちょっとシャボン玉っていうかふわふわしたものを入れてみたらどうだろう…とか。 最初は小林エリカさんのイラストも表面には使わないようなビジュアルで。 ほんとにシンプルで。 写真もほんとに色のついてないキララちゃんの写真と、このロゴと。


まな:もうちょっと暗い感じだったんですか?


安川:いや、どうなんですかね。 まあ写真がそのままの色で使われて、ちょっとした補正をしたカラーで使う感じのデザインだったので、それはそれでキララちゃんの魅力が活かされたチラシではあったんですけど、なんかもうせっかくこの機会なんでもうちょっとビジュアルも遊びたいなってところがあり、もうちょっとできないですかねって感じで。 写真に色つけるとか、イラストをもうちょっと表にばらけさせて配置するとか、そういうことをお願いしていて、こういうのになりました。


:監督が関わってないんだったら結構やばいよねって話になってて。 宣伝の人とかが勝手にやってるんやったらそれだけですごい裏切っている感じになるよねっていう話になったんですけど。 やっぱ監督が結構…。


安川:そうなんですよ、ビジュアルは。 デザインがもともと好きだったので。


:あ、学校がもともとそういう系だったんですよね?


安川:学校は美術系の学校で、そういう授業もありましたし、そういうのを勉強した時もあったくらいなので。 でも、わたし結構不器用であまり実質的な作業が苦手なんですけど、いろいろデザイナーさんに言ったりとかすると、ポテンシャルの高い方でこういうのが帰ってきて楽しかったので。 たぶん本来は宣伝の方とか配給の方が考えるところなんですけど、わりと自力でやってるんで。 全部考えてやりました。


カレン:このギャップがあるからこそパンチの強さが引き立つというか。


安川:完全にだまし討ちなんですけど。(笑)


まな:キャッチコピーももっとファンタジーなかわいらしい感じの幻想の国かと思いました。


ハヅ:このイメージで観たんで、映画とのギャップがありました。


カレン:「あれ?ディスク間違えたんちゃうん?」っていう感じになってて。


:観れば観るほどね。


カレン:前情報を入れずに観たんですけど、すごいびっくりしました、ほんとうに。


安川:このキャッチコピーもね、合ってるのか。まあ間違ってはないと思うんですけど。


まな:嘘はついてないですもんね。(笑)


カレン:観る前と観た後でキャッチコピーの印象が変わるという感じですよね。


まな:このキャッチコピーは誰が考えたんですか?


安川:これは宣伝の人が考えました。 だいぶおじいさんだったんですけど、宣伝の人が。 若い人も一人入ってくれたんですけど、まあこれを考えてくれた人はおじいさんの人で。 やっぱ少女とか言っちゃうとすごい男目線だったなっていうのはちょっと反省していて。 そういうところが女子に観てもらえなかった要因の一つかもしれなくて。 こんなこと言ったら宣伝の人怒っちゃうかもしれないんですけど。(笑) 今人気のあるキャッチコピーってわたしはなんとかとか、なんだろうなあ…、『ワンダフルワールドエンド』だと「くたばれ男ども」とか訴えかける一言で、そういうのが流行っぽくて。 これだとどうすればよかったのかな?って。 分からないんですね。 どうしたらよかったのかな…?


カレン:なんで若い女の人に観てほしかったんですか?


安川:なんでしょうね~…。 というか、もとから女性にあまり観てもらえなかった作品なだけに、女性からどういう反応が得られるのかなというのがすごい興味あって。 わりと女性の心理を扱っている作品なので、観てもらった女性の方からのほうが新しい新鮮な意見をもらえたりとか、感想をもらえたりしたので、そういうのも今後に活かせれたらなとか思ったんですけど。 男性だとわりと同じような意見が多くて。例えば少女の怪物性とか、狂気とかそういう話が多いんですけど。女性はまた違った視点から観てくれる方も多かったので。


カレン:女子が未知なものなだけに、そういうことを言っちゃうんですかね?怪物とか。


安川:たぶんそうなんですよね。


チア部:(笑)


―究極の女の子映画なのでは?


カレン:究極の女の子映画になるかもみたいな話をしましたよね。


:しましたね。 時期的な問題もあると思うんですけど、今女性監督とか女の子を題材にした映画が多いからこそ、『Dressing Up』もそういうくくりで上映されている劇場とかも多いと思うんですけど。


安川:でもねえ、どうなんだろうと思って。女性っぽくないとかもたまに言われるんですよ。 監督男かと思ったってたまに言われるので、その女性監督っていうのに求められる期待に応えられていない映画な気がするんですよね。


:そんなことないと思いますけどね。


安川:こういう女性のつくるインディーズ映画とかって、もうちょっと人間関係とかで進んでいく話が多かったんじゃないかなと思うんですけど。 いろいろ具体的に言わないほうがいいとは思うんですけど、ああいうのが出てくるとか、そういうので受け入れがたい人もいるのかなと思って女性は。


カレン:女の子と女の子の人間関係の映画じゃなくて自己との対話だったっていうのがたぶんちょっと違うのかなって思ったんですけど。 草野監督の『螺旋銀河』だと、女の子と女の子の関係とか。


安川:そうですね。 草野さんと描き方は全然違うとはいえ、テーマ的にかぶる部分があるのかなって。


まな:あれはあれで、幸子怖いですね。


安川:確かに、幸子怖いですね。 最後友人の女の子と、っていうエピソードが出てくるんですけど、わりとこの映画は友人関係も描くし、お父さんとの関係も描くし、お母さんもおじいちゃんも出てくるしって勢ぞろいで出てくるので、どのエピソードもそこまで掘り下げることはできなかったんですけど、尺的な問題で。 なんですけど、自分自身がだれと会っているときにどうなるかっていうのを描きたくて、そういうとこから人に人間を見せたいなという部分があって、多面的な部分というか。 女性を描くときってキャラクターっぽくなっちゃうというか、明るく元気な人だったらもうそれ以外の部分が出てこないというか。 そうじゃなくてだれと会う時にどういう感じになるんだろうっていうのをみせたかったので。


ハヅ:確かに。それは観てて分かりました。


カレン:友達と会っているときはすごく明るくていい子だったよね。


安川:とかっていう感じですかね。


まな:そういうところよりも狂気みたいなところに目を向けられてる感じはありますよね。


安川:そうなんですよね。 そんなにそういう風にみられる映画なんだって観てもらって感想聞いて思ったというか。 そこだけをフューチャーしたわけではなかったんですけど、そこが一番のポイントってみれるんだなって。


まな:衝撃としての強さが、どうしてもそこが大きいから目が行きやすいっていうのはあるかもしれないですね。


安川:でも、どの描写も同じくらい描きたかったというか、お父さんとの関係性とか。 この女の子の狂気というよりも、お父さんのほうが狂気を感じるところがあって。


:そうですね。ぬいぐるみとか。


安川:そうなんですよね。 デフォルメして描きすぎですけどね。 ああいう感じをもってるんですよ、男性っていうものに対して。


チア部:あぁ~!


:監督自身がってことですか?


安川:そうです。


まな:そこで済めばいいみたいなあのセリフとか。


安川:そうかもしれない…。 攻めるつもりではなく、お父さんの気持ちも分かるっていう気持ちで描いたつもりなんですけど。 どうしてもキララちゃんにわたしを投影してるのかなみたいに思われがちになっちゃうというか。 でも、全部の登場人物に感情移入して書いたところはあるんですけど。


まな:へ~。 お父さん観ててちょっと上っ面感じゃないですけど、ずっと感じてて。


安川:不器用でかわいそうな人なんだなっていうか、愛情表現が下手だともう愛情がないっていうことになっちゃう…みたいな。 たぶん愛情がないことはないんだけど、弱さでそうなっちゃうみたいな。


カレン:それしかやり方をしらないみたいな。 目に見える方法でしか表現することができないタイプなのかなって、お父さん。


ハヅ:そんな感じでしたね。


安川:そこに感情が入ってないと、人って見破っちゃう気がするので、いくら行動だけやってても小難しいことだなっていう。 そういうお父さんを演じるのは難しかっただろうな。


:鈴木卓爾さん。


安川:すごく複雑な役柄だったんで、どういう気持ちでしゃべってたのかなって思いますね。


:出てますよね、不安定さというか。


まな:どう娘と対話していいのか分からないみたいな。どう接していいかわからないっていう感じ。


安川:ありましたねえ。 みなさんはお父さんと仲いいんですか?


まな:仲いいです。


:どうなんですか?みなさん。


カレン:あんま仲良くないですかね。(笑)


:監督自身はどうなんですか?


安川:あそこまでではないですけどね。 もうちょっと普通の関西弁のおじさん。 でも、なんかこう、型っていうのを大事にする感じっていうのは男性のほうがイメージとして強い感じがあります。 思い込みかもしれないんですけど、そういうところで作っていったキャラクターっていう感じですね。



第一弾はここまで!第二弾は明日アップする予定なのでお楽しみに!(ハヅ)

映画チア部

神戸・元町映画館を拠点に関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された、学生による学生のための映画宣伝隊。