『Dressing Up』上映まであと1日!~安川有果監督インタビュー~
1/9から元町映画館で『Dressing Up』が上映ということで、安川有果監督にインタビューさせていただきました!今日は第三弾です。安川監督自身や若手監督同士のお話していただきました。
(左からカレン、安川監督、まな、ハヅ、涼)
――切磋琢磨しながらおもしろい映画を作っていきたい
涼:草野なつか監督は映画チア部もがっつり取材とかさせてもらって。草野監督から映画チア部のことを知られたんですか?
安川:そうですね。草野さんのフォローしてるので、Twitter。草野さんがリツイートしてるの見て、映画チア部いいな、こんなにプッシュしてもらってって思って。しかも若い女の子たちで、そういう人たちに見てもらいたいなと思って。
涼:そんなかんじだったんですね!
まな:草野監督へのインタビューの時に安川監督の名前をすごいおっしゃっていて、同じ若手監督でも影響を受けている人は誰ですか?って聞いた時に安川監督の名前を出していて。
安川:今年たまたまね、上映時期もかぶったりして意識せざるを得ない感じになってたんですよ。
チア部:(笑)
安川:アンコール上映とバチかぶりになっちゃってて、上映時間とかも。ごめん、みたいな。(笑)
まな:草野監督も推してました。元町映画館での座談会っていうお客さんと話す会の時、帰り際お客さんにオススメの若手監督の作品ないですか?って言われたときに、『Dressing Up』って。
安川:うれしい。草野さんいい人だなあ。
涼:(笑) ほかに草野監督以外とかでも若手監督とかと繋がりとか友達の人とかっているんですか?
安川:あっという間につながっちゃうんですよ。友達っていう感じではないかもしれないけど、作り手だしいつも仲良しみたいな感じではいられないかもしれないですけど。 今年デビューの監督さんとは座談会とかさせていただく機会があったりとかして、どういうことを考えているのかって、自分とは全然違う考え方なんだなとか発見もあっておもしろかったですし、具体的な名前を出すと『ディア―ディア―』っていう映画の菊池武雄監督とか、『息を殺して』っていう作品の…。
まな:あ、ピクトアップの座談会ですか?
安川:そう、ピクトアップの。
涼:五十嵐監督は元映にも来てくださって。
安川:そうだったんですね。五十嵐監督もとんがった感じのおもしろい方でしたね。余計なことを言わない感じのかっこいい方で。
涼:たしかに寡黙なイメージですよね。
安川:ああいう人あこがれるんですよね。ついベラベラしゃべっちゃう派なんで。五十嵐監督かっこいいみたいな。ちょっと思いましたね。 一人だけだと媒体さんとかもなかなか載せてもらえなかったりしたものが、今年デビューの監督っていうかたちで取り上げてもらったりとかして。ありがたく思いつつ、やっぱそれぞれ虎視眈々とやることも違うだろうし。 でも、おもしろい方が多いので刺激しあって切磋琢磨しながらおもしろい映画を作っていけたらいいなとは理想的には思うんですけど。
――『Dressing Up』が原点に
安川:草野さんとかどういう話をされたんですか?作品の話を中心に?
まな:作品と、草野監督自身にもけっこうお聞きして。なんで映画監督になったんですか?とか。
安川:あ、聞いてみたいな。わたしそんな突っ込んだとこまで草野さんに聞いたことないかもしれない。
まな:(笑)安川監督はなんで監督になったんですか?なんか同じ質問で申し訳ないんですけど。
安川:目指そうとか思ったことは全然なくて。美術の学校に行ってた時に、卒業制作で映画を作ったら、ものすごい充実感があって。映画制作ってそういうところがあるんですよね。一回やっちゃうとすごい快感というか、充実感があってなかなかやめられなかったりするんですけど。それでこれを続けていきたいなっていうのがあって。 でも仕事にしようとかはすぐには思えなくて、別に仕事をやりながら2年に1本くらいのペースで作ってたんですけど。 今は『Dressing Up』がこうやって公開してからは、しっかり仕事として映画をやっていきたいなと強く思う感じにはなりましたね。
まな:映画自体は昔から観られたりとかはしたんですか?
安川:そうですね。中学くらいからミニシアター系のとこも観始めて。でも映画つくり始めてからのほうがよっぽど観てますね。
まな:それは意識して?
安川:意識して。観ないと作れないと思っているので。勉強しないと。
まな:オススメとかってありますか?
安川:オススメってねえ。
チア部:難しいですよね。
安川:人それぞれで全然違うと思うんで。
まな:よく見る監督っていますか?
安川:よく観る監督…。 今泉力哉監督がけっこう好きで。結構とか言ったら失礼ですけど。好きです。お好き?
涼:今度モトエイでも上映しますよ、『知らない、ふたり』。楽しみにしてます、映画チア部はみんな。
安川:みなさん力哉ファンですか?
ハヅ:力哉ファンですね。『サッドティー』とかも好きで。
安川:『サッドティー』もおもしろいですよね。力哉さん本人もおもしろくてね。会うとすごく好きになっちゃうっていう感じで。
ハヅ:おもしろそうな人やなっていつもTwitter拝見してるんですけど。
安川:Twitterはちょっとね、ネガティブツイート多すぎるんですけどね。(笑)すぐやめるし。
まな:寝るって言ってからすぐつぶやくとか。
安川:そうそう!すごいご覧になってる。
ハヅ:すぐアカウントも変えたり。いなくなったと思ったらまた。
安川:一ヶ月くらいでまた復活できるから、気分転換にやめてるんですかね。
まな:Twitter見てるとすごい不思議な人なんですよね。リツイートもすごいするし。
安川:そうですね。宣伝のためなのかもよくわからないかんじで。
まな:関係ないものをリツイートされて。普通に観た台湾映画の感想がリツイートされて。なぜだ、なぜだみたいな。
安川:おもしろいと思われたんですよ、たぶん。
カレン:(安川監督は)こういう暗い系とかじゃなくて、ほかのジャンルのも撮るっておっしゃってたって聞いたんですけど。
安川:『Dressing Up』作ったら、こういうのしか作らない人だと思われそうなんですけど。それが嫌で、そんなことないって思って全然違うアホアホコメディを撮って。エロティックアホアホコメディ。それは観てくれてる人が少数で。 『Dressing Up』と同じくらいの気持ちで作ったんですけど、どうしても『Dressing Up』ばかりがね。
チア部:観たいですね。
安川:好みが分かれるとこかもしれないですけどね。機会があったらよろしくお願いします。
カレン:このジャンルがむいてるとかあるんですか?撮りやすいなとか。
安川:いろいろやったうえで、この前にやった短編映画は人間模様っていうか、男女の恋愛模様っていうのを描いてたんですけど、それは撮る分には撮りやすかったです。集中して、ここどうしたらいいんだろうとか悩むこともなくパスパス撮れて、完成度的にはその作品が高いと自分では思ってるんですけど。 『Dressing Up』とかも、けっこういろいろ雑なところもあるし、映画館で観ると。っていうのもあって、むいてはいないかもしれないですけど。でも『Dressing Up』がそんな大げさなものでもないんですけど、原点というか。 あの時感じてたテーマとか、まだ引きずりそうな予感もあるというか。これをもうちょっと明るい感じでとか、描き方は変わると思うんですけど、これがベースになっていくような予感はありますね。
カレン:テーマに思い入れがあるのかなっていう風な感じがしたんですけど。
安川:そうですね。でも、あまり思い入れがあるって意識しないほうがいいかもしれないですけどね。 この間、横浜聡子監督とトークさせていただいたんですけど。横浜聡子監督の長編デビュー作もCO2で。『ジャーマン+雨』っていう作品なんですけど。それにめちゃめちゃ感動して、テーマ的なものも深いものがある作品なんですけど。「そういうテーマを追求されてる部分があるんですか?」みたいなことを聞いたら、「一切ない」っておっしゃって。かっこいいと思って。ある程度やって、そこからは違うことを模索していくっていう、わりとすっきりしたかっこいい感じの監督だったので。 執着せずに全然違うものを撮るかもしれないですけど。でも、どっか根底にあるようなところがあるかもしれないですね。
まな:『Dressing Up』自体はどういうきっかけでこういうものを撮っていこうとかはあったんですか?
安川:これはCO2っていう大阪の映画祭で、映画を作っていくなら長編も撮りたいという気持ちがあって。 そうすると物語ってなんだろうみたいなことも考え始めて。その当時、物語と言えば葛藤が大事みたいなことを言われてたんですけど。自分が生きてる実感として、どっちかっていうとみんな葛藤とかってめんどくさいというか、あんまり喧嘩とかしないように相手に合わせるとかめんどくさいことは避けるような感じがあったんですけど。そうすると、物語に葛藤を入れても嘘になっちゃう気がして。 実際、今の実感として葛藤をみんな避けている気がするのに、物語の中で葛藤を入れるっていうのは違う気がしたので、そういうところでキャラクターとかも考えていったっていうのはありますね。
涼:葛藤は避けますよね。
カレン:でも、本当に言われる、「葛藤を入れろ」って。映像の世界では言われますよね。
安川:なんか、葛藤がないとおもしろくないとか。
まな:波がないからですかね。
安川:物語の型がもうそうなってて。 対立者がいて、こうなってとかある程度型に沿って作られてきたけど、今の世の中そうなっていないんだとしたら、物語に合わせる必要ないんじゃないかというか。そのこと自体を描いてもいいのかなって、物語とはなんなのかなっていうことも描きたかったひとつなんですけど。
まな:作り手にもこういう風につくるのが普通だみたいな縛りみたいなものってあるんですか?
安川:縛りというか、やっぱりセオリーみたいな、こういうジャンルだったらここで対立が起こって、ここで解決が起こってとか。そういう本もいっぱい出てるし、大体の映画がたしかに言われてみるとそれに沿った流れになってて。 それに従ったうえで、オリジナルっていうのを入れていければいいと思うんですけど。型っていうのはあると思うんですよね。 それをつかむのは悪いことではないと思うんですけど、どっかでみたことのある映画にもしたくないし、今の実感もそこにいれたいっていのもあるので、型を意識しつつもはみ出るのも恐れないでいようっていうふうに思って作っていたとこはありますね。
涼:だからこそ、『Dressing Up』を観たときの衝撃度がすごかったのかもしれませんね。
まな:(『Dressing Up』みたいな映画が)今までにあったかって言われると、あったっていう人いるんですかね。 『螺旋銀河』のときはこの映画と似てると思いましたっていう感想がいろんな人から出てたんですけど、似てるとか言われますか?
安川:私の作品は言われることが多くて、『螺旋銀河』のほうが(他の作品を)なんにも観てないっていう感じがしたんですけどね。 あ、でもテーマとかは思い出した作品とかもあって。なんか問い方とか超オリジナルというか、螺旋銀河用の撮り方というか。あの映画のあれをパクったとかそういうのは全然なくオリジナルだなって感じましたね、『螺旋銀河』。
カレン:ちょっと失礼な発言になってしまうと申し訳ないんですけど、草野監督はすごく器用な方なのかなって『螺旋銀河』観てても感じて。 『Dressing Up』観たときに、安川監督はすごい粗削りじゃないですけど、いろんな意味でどーんとでちゃうみたいなのがあるのかなっていう印象は受けました。
涼:どんな人なんだろうっていう。
カレン:何を考えているんだろう?って。
まな:Twitterとかでもよく見ますね。頭の中を見てみたいとかって書かれてますね。この映画のイメージから監督を見ると、映画からは想像できないようなかわいらしい方でしたみたいなツイートをみたりして。
ハヅ:わたしもそれは思いましたね。
安川:ちょっとどうかと思って。前に出たくないというか、こんなこといってもどうしようもないんですけど、映画だけでいいじゃんっていうか。がっくりさせちゃうのが嫌なんですよね。
カレン:がっかりじゃないですけどね。何を秘めてるんだろうっていう。
安川:ほんとに平凡な人間なんですけど、そういう人でも別に映画は作れるし。ボロが出ないうちに。(笑)
チア部:(笑) がっつりインタビューさせてもらって、楽しかったです。
安川:こちらこそ楽しかったです。
チア部:ありがとうございました!
安川:ありがとうございました!
今回は、安川監督が映画チア部に興味を持っていただいてインタビューをさせていただきました!インタビューするのに慣れていないわたしたち映画チア部員ですが、実際に安川監督とお話することができうれしく思います。また、このインタビューが、読んでくださった方が『Dressing Up』を観るきっかけになれば幸いです。
いよいよ明日から元町映画館にて上映が始まる『Dressing Up』。 初日の明日は、上映後に安川有果監督と祷キララさんの舞台挨拶、そして安川監督との公開座談会&祷キララさんとのツイキャス生配信があります!ツイキャスでは祷キララさんに元町映画館スタッフが生インタビューするので、みなさまのコメントや質問をコチラでお待ちしております^^
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