いよいよ明日から関西公開! 『いいにおいのする映画』酒井麻衣監督&『脱脱脱脱17』松本花奈監督Wインタビュー

(右から『いいにおいのする映画』酒井麻衣監督・『脱脱脱脱17』松本花奈監督) 


 才能ある若手監督とアーティスト、映画と音楽のぶつかり合い”MOOSIC LAB”2015にてグランプリ・観客賞を含む史上初の6冠に輝いた酒井麻衣監督作品『いいにおいのする映画』。その関西単独公開がついに明日4/30(土)から大阪・第七藝術劇場(~5/6(土)まで)、京都・立誠シネマ(~5/13(金)まで)、5/7(土)から兵庫・元町映画館(~5/13(金)まで)でスタート!その関西公開を記念して、酒井麻衣監督と『脱脱脱脱17』で今年のMOOSIC LAB2016に参戦する松本花奈監督にWインタビューをしてきました!これを読んで劇場に駆け込むべし!


「君にしか撮れないものはなに?」

―酒井監督はTwitterなどで『いいにおいのする映画』について「学生さんにこそ観てほしいです!」とよくおっしゃっていますが、それは何故ですか?


酒井)『いいにおいのする映画』は大学を卒業した後に撮ったんですけど、「ファンタジー映画が撮りたい!」って言って撮った作品なんですよね。大学に入るまでとかだったら、大人からの意見の影響力ってすごいじゃないですか?大人は参考までに、ぐらいの気持ちで言ってるかもしれないけど、やっぱり言葉の重みが全然違う。それに従わなきゃ、大人の言われたようにしなきゃってなっちゃうと思うんですけど、この映画はそういうのを一回全部すっ飛ばして「自分たちはこういうのをやりたいんです!」っていうのを示した作品だと思うんです。だから映画が好きとか映画を目指しているという人だけじゃなくて、夢や目標を持っている人、未来に悩んでいる子にこそ観てほしいと思っています。


―『いいにおいのする映画』に限らず、ムーラボって全体的にいい意味で型が無いというか、それぞれがやりたいことをやっているって感じですよね。お2人にお尋ねしたいのですが、お2人はどこでムーラボを知って、どういった経緯でムーラボに参加されたんですか?


松本)わたしは山戸結希監督(『あの娘が海辺で踊ってる』『5つ数えれば君の夢』などで知られる。最新作『溺れるナイフ』が今秋公開予定)が結構好きで。山戸さんが2013年のムーラボでグランプリを受賞(『おとぎ話みたい』)されて、それで知りましたね。今回私は『脱脱脱脱17』っていう作品でムーラボに参加させていただくんですけど、その前に『真夏の夢』っていう映画を撮って、それで2015年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭に出品したんですね。その時に(ムーラボ主宰の)直井さんや『脱脱脱脱17』プロデューサーの上野遼平(19歳!)くんと知り合って。それがきっかけで撮ることになりました。去年、私が高3の夏に撮ったんですけど、私も酒井監督と同じように「どうしてもこれが撮りたい!」って感じで撮りました。


酒井)私がムーラボを知ったのは、黒田将史っていう2014年のムーラボで『QOQ』という作品で準グランプリを撮った監督がいるんですけど、私が監督した『金の鍵』のオーディションに来てくれて。彼が2013年のムーラボの大阪編の予告編を監督してたんですよ。その時に教わりましたね、ムーラボのことは。

ムーラボに参加したきっかけは私も花奈ちゃん(松本監督)と同じゆうばりなんですよ。私は2014年のゆうばりで直井さんに初めて出会って、その時は猛アタックしても冷たい対応だったんですけど(笑)、同じ年の6月ごろ、私が京都で就職してうわーって仕事してるときに直井さんから「何か企画出してみませんか?」って連絡が来て。もうこれはチャンスを掴むしかないって感じでやります!って返事しましたね。


―直井卓俊さんは最近だと『百円の恋』や『友だちのパパが好き』などを配給しているSPOTTED PRODUCTIONSの主宰でもあるわけで、邦画好きな人からすると直井さん様様なところがあると思うんですけど、直井さんが大事にされてるものって何ですか?


酒井)これは私だけじゃなくムーラボに参加した監督ならみんな言われてるかと思うんですけど、「君にしか撮れないものはなに?」ってところですね。最初に世に出る作品っていうものは、まず作った自分がちゃんと出てないと観客に突き刺さらないから、それを怖がらずにちゃんとやってほしい、っていうことは言われました。みんなインディーズ系の監督ばっかりだから、次のステージに上がるのに必死なんですよ。だから「自分の色を出して勝負!」って感じです。


―なるほど。少しざっくりとした質問になるのですが、日本の若手の、特にインディペンデント系の映画監督さんにとってムーラボってどういう存在なんですか?


松本)そうですね。ムーラボってその名前通り「映画」と「音楽」を掛け合わせるってことで、どちらかと言うと楽しいっていうか、憧れかつ魅力的な物だと思いますね。映画だけに囚われることもなく、自由にやりたいことをやるって意味でも魅力的な物だと思います。


酒井)私はムーラボを登竜門にして這い上がってやるぜ!って気持ちで挑みましたね。それこそ色んな若手映画監督の登竜門的な物はあると思うんですけど、私にとっては「お客さんに観てもらう」っていうことが一番大事だと思っているので。ムーラボにエントリー出来たらグランプリを取るとか関係なくまず全国の劇場で上映されるじゃないですか?やっぱり私の中ではそれが一番大きかったですね。グランプリを取ったら単独公開とかでまた次に繋がるわけだし。映画ってやっぱりお客さんに観てもらわないと死んじゃう物だと思っているので。あと、私自身が映画マニアっていうよりどちらかと言うとミーハー寄りだったので、普段映画を観ないお客さんに観てもらうならムーラボでしょ!って思いました。それと花奈ちゃんがいったようにそれこそ「ラボ(研究所)」ってことで色々挑戦させてもらえる場所だったので、若手としてやりやすかったです。モノクロとパートカラーを許してもらえたり。

(文字起こし・編集) こえた

映画チア部

神戸・元町映画館を拠点に関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された、学生による学生のための映画宣伝隊。