品田誠特集‐品田誠ってどんな人?【完全版】vol.3

品田誠特集vol.2で、

品田さんの映画に対する思い、彼が生きる上で大切にしたいものが少し鮮明になったのではないでしょうか。

続くvol.3では、

特集上映会に含まれる作品のおすすめポイントについて伺いました。


【“―”チア部(質問)/“品:”品田誠】


ー『なけもしないくせに』と『モラトリアム』のおすすめポイントなどを教えてください。

品:『なけもしないくせに』のこの監督は姫路出身で、兵庫に住んでるんですよ。

もともと彼は別に役者志望じゃなくて監督をしたくて、最初、自分で監督と主演やって、ある意味私小説的な映画で、でも私小説的な映画だからそんなに本数作れなくて、更に脚本術で書くタイプじゃなくて、自分の力で書くタイプの人で。

それで池田大くんが監督の分身になることを要求されてまして、監督は自分をイメージして作ってるからむちゃくちゃ細かく演出してて、この音は あ〜↑ じゃなくて あ〜↓ だよ!みたいなそんなレベルで、そういうのを細かくやってたのが1つです。

あとは閉塞感に包まれた主人公がそこから何かしたくてもがくみたいな話でもあるので、何か大きい困難があるわけじゃないですか、そこが面白い作品だと思ってますね。


ーでは次は『モラトリアム』を。

品:これは5月から上映が決まりまして、初めて主演をした映画です。これはさっきの『ただ・いま』じゃないですけど、監督が自分の身の回りの人たちを当て込んで書いてるので参考になる人がいます。毎回観るたびにじーんとくる個人的にすごく好きな映画なんです。

ドキュメンタリー出身の監督で、そこにあるものを積み重ねていって……言葉で表しづらいんですが、何かを捉えているような作品だなって思います。

毎回ノスタルジーを呼び起こされる作品で、モラトリアムって大学生のなんでも許される時代で、それが終わりかける時に入ってくる映画なので、当時の自分とリンクします。

そういう渦中にいるチア部の方にも是非見て欲しいですね。



モラトリアム…

誰もが経験した・経験する、自由でもあり不安定でもある時期です。

その時期に役者を目指された品田さんのモラトリアムの過ごし方とは?

そして品田さんの意外な過去が明らかに……!?

ー大学がモラトリアムとおっしゃっていましたが、やっておけばよかったってことありますか?

品:色々あるんですよ(笑)

やってよかったことは、色々やったことです。なんでもできるから、いろんなことに手を出したらこれはできないってことがわかるんですよ。

できることってすごく興味があることに行き着くというか、ちょっと興味あることや、やらなかったことは淘汰されるので……その時に色々やってなかったら、ほんとに役者やっててよかったのかなって今思ってるかもしれないんですが、色々やったことで飛び出せたというか、選択できたってことですね。


ー色々なことをするのが大切ってことですね。

品:そうですね。


ー品田さんは何学部だったんですか?

品:教育学部です。


ーえっ、じゃあ先生を?

品:はい。教育実習も行って、あとちょっと単位とって卒論書けばってタイミングでやめたんです。


ーなぜ教師になろうと思ったんですか?

品:教育の現場しかわからない高校生で、教師は素晴らしい職業だって知ってたのと、人に教えるの好きだったりして、まあやりたいことなかったらこの仕事になってもいいかと思って教育大学いけばその道はあるんじゃないかと思って。

いざという時の保険みたいな気持ちで教育大学行ったんですが、教育大学ってみんな教師になりたくて来ているので、どうすればいい教師になれるか、それを考えるのが楽しいわけですよね。僕と次元が違うというか、興味のレベルが大事だなって気付かされました。


ーじゃあ大学にいる間に、自分は役者に対する興味があるとわかったんですか?

品:そうですね。

でも北海道で役者としてできることってやはり限られてるので、調べた劇団の黒い子役の分身が俺のやりたいことだ!ってならないので、1年東京行ってみたらわかるかもと。

それで他に興味あるのが出てきたら北海道に戻って大学生戻ろうって思ってたんですがそうはならなくて。自分のやってきたことの中で一番興味のレベルが高くて、それは確かな判断ができたので、そのまま残ろうと。


ー興味があることははなんでもしようっていう性格だからだからこそ役者に行き着いたということですか?

品:興味って心からくる興味と、こういうことをしないと社会から生き残れないっていう興味があって。最初こっち(社会)の興味が強くて、だからインターンとかやった方がいいのかなって思ったんだですが、それは全然興味がなくて、あんまり惹かれない。

でもそれをするうちに、心からくる興味に出会えました。


ー自分の心からくる興味のある仕事に出会えたとしても、それがお金になるかの不安とかありました?

品:ありましたね。

上京するかどうかの判断の期限をつけてて、その時は、1週間ぐらいホームレスになる夢を見ました(笑)

そのぐらいやっぱり不安に駆られて。北海道は役者になるっていう選択肢が存在しない…口に出すのも恥ずかしいぐらいだったので。

今も不安と恐怖と戦ってるので、それが正しかったのかを証明できる立場ではないです。

その恐怖を大事にしなければならないと。

ーやっぱり自分の好きなこと、やりたいことを仕事にしてたら楽しいですか?

品:そうじゃないものを30年もやれないなってのがあったので。

もっとあんまり楽しくない人生があるんじゃないかと大学生のとき思ってたので、それは脱せてます。大学生の方が戻りたくないです。今の方が楽しく生きてますね。



品田誠特集‐品田誠ってどんな人?【完全版】vol.4

につづく


映画チア部  かきん・ミヤ

映画チア部

神戸・元町映画館を拠点に関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された、学生による学生のための映画宣伝隊。